「イッツ・ア・ボンゴレショー」





自分と異なる体温に密着されあまつさえ首筋にかかる彼の髪がくすぐったい。

爪先から頭のてっぺんまで血液が押し流され沸騰するのじゃないかと沢田は思った。

握り締めた手のひらはすっかり汗ばんでいるが拭うことすら容易ではない。


互いのネクタイによって沢田は両手首を縛られ獄寺は目隠しをされていた。


「ねえ、やっぱりオレがこっちじゃないとダメなの?」
「ご不満ですか?どうしてもって仰るならオレはどっちでも構わないんですけどね」
「・・・いいよ、もう。あんまり酷いことしないでさっさと終わらせちゃってね?」


羽交い絞めに抱き込まれるような形で不本意にも衆人環視の中、思うように動くことも阻まれている。

落とされた室内照明の中スポットライトで照らされ幾つもの視線に晒される。

今更逃げられないけれど出来れば京子ちゃんにはみられたくないかも。

俯く沢田の耳の際が紅く染まっているのを獄寺は知ることが出来ないが、
獄寺の鼓動の速さは 意識せずとも沢田に伝わった。


「10代目、あの、このへんですかね?」
「んー、もすこし上かな・・あ、もうちょっと右・・ってそんなとこに指入れないでよ!」
「す、すみません。痛かったっスか?」


煙草と仄かな甘い匂いに混じって獄寺の声が背中に響く。

獄寺の腕は探るように行ったり来たりを繰り返し焦れったいほどに幾度も的を外すので
その度に沢田は両手の戒めをすぐにでも解きたくて腰を浮かせた。

生温く粘ついた感触の雫が獄寺の腕を伝いぽたぽたと沢田の膝を濡らし床に白い染みを作る。


「・・んぐ・・っ。」
「あ・・」
「ごく、でらくん・・いきなり突っ込みすぎだってば」
「すみません、さっさと終わらせたいって仰ってたのでつい・・」

や、いいから。その体制で土下座なんかされた日には一蓮托生でとんでもないことになるから、オレ。



顎から胸元まで汗とも涎ともつかない何ともいえない滴りと鼻先のやるせない状況に涙目になる。
やっぱりオレが後ろの方が良かった、っていうかなんでこんなこと・・





昨年と同じだなんて野暮なことはしないと胸を張る獄寺に押し切られたボンゴレ的七夕大会だが
オレがボスになったら絶対この風習廃止させよう、絶対!
織姫も彦星もこんなの望んでないって、マジで。
そして二人羽織も絶対しないったらしない。



鼻からとろろうどんをぶらさげ咽込みながら沢田は固く星に誓った。


fin

*山本さんは今年も御寿司を配りますよ。高得点です。
そしてこっそりハミーに捧ぐ(笑)