「おめでとう、ランボ」
「やれやれ、ボスにお祝いのワインを空けて貰うところだったのに」
肩を竦め大袈裟でありながらも違和感のないウインクを決めながら彼はそこに現れた。
「お久しぶりです、若きボンゴレ10代目」
長い手足を折りたたむようにしておれの前に座り穏やかに微笑んでいる。
何かの花の匂いがふわりと香るダブルのスーツ。
「あ、うん。ランボ、元気そうだね。」
「はい、おかげさまで」
「そういえばランボ、今日は誕生日だったよね」
「ええ。あなたも祝ってくださいますか?」
長い睫を僅かに伏せおれの顔を覗き込むように近づくマスカットグリーン。
「えーと、うん。お誕生日おめでとう!!
丁度おまえの誕生会をするところだったんだよ。寄っていけってわけにもいかないだろうけど・・。
プレゼント・・もあげたいけど・・あ、これ今でもスキなの?」
元々ランボにあげるために手にしていたキャンディーの入った袋を揺らしてみた。
「キャンディ、下さるんですか?」
キャンディを溶かしそうな甘い声のランボ。
「ねえ、ボンゴレ10代目が口に入れてくださいよ、お祝いってことで」
「えー、なにいっちゃってんのさあ」
云いながらもまあいっか、お祝いだし、とおれも納得してキャンディの包み紙を開いた。
「あーん?」
葡萄の香り。花の香り。ワインの香り。
柔らかな罠に捉えられた。
指を緩く喰み這ってくる熱の感触。
慌てて退こうとするまえに腕をつかまれゆっくり解放された。
カリリ。コリリ。囓られる飴玉。
「甘かったです、若きボンゴレ。お祝いをありがとうございました」
煙と一緒に未来へみえなくなるその背中はやっぱり甘い香りがした。
お誕生日おめでとう、ランボ。
あんな未来におまえはまた近づいていくのかな。
ワインの乾杯を中断されて来たおまえが、どれだけおとなになったのかおまえは自分でわかっているのかな。
何回おまえにお祝いをいえるのかわからないけれど。
おめでとう、ランボ。
Buon compleanno!