「狼なんてこわくない」



「オレが怖いですか?10代目」

「どうして?」

「オレは本気で訊いているんですが。ほんとの本気です」

10代目はいきなり椅子から立ち上がった。

「オレ、獄寺くんをこわくなんかないよ。
ちっともこれっぽっちだってこわいことなんてないんだ」

オレは一体何をきいてしまったのか・・もう止めよう、と思った。

「そうですか」

10代目をそっと椅子に押し戻しゆっくりCDの並ぶ棚の前に立つ。

「ベートーベンの第九、4楽章だと30分ぐらいあります」

「うん」

「マーラーなんかも軒並み長くて33分41秒なんて楽章もあります」

「そうなんだ?で、なんなのさ」

一枚の銀盤をするりとコンポに滑り込ませる。

「これをかけましょう。10代目、この曲が流れている間の時間オレはあなたに何をしても構わないってことでいいですか?」

「・・・いいよ!」

睨み付ける様に挑むように投げられる視線を受けながら、ことさら丁寧にコンポのスイッチに指をかける。

「いいですか?」

「ちょ、やっぱりちょっと待って!」

「ダメです」

体全体を強張らせた10代目をそのままにスタートボタンを押す。

固まったままの10代目をしっかりみつめて名前を呼んだ。

「じゅ う だ い め。さ わ だ さん」

プレイヤーは止った。

静寂と10代目の疑問いっぱいの瞳。


「イ・ムジチの「ブランデンブルグ協奏曲第3番第2楽章」この楽章だと16秒しかないんです、10代目」

「・・・」
ぐんにゃり力の抜けたような10代目をもう一度椅子に座りなおすよう促し言葉を足す。

「もしも次があるのなら。其のときは10代目が曲をえらんでくださいね」

カーテンがふわりと揺れた。

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所詮はうちの獄きゅんですから(笑)

最初、音楽を選ぶのツナだったんですけど(元ネた的にも)どう考えてもこういう薀蓄は獄寺だし、ね?

次回はあるのだろうか?10代目ーー。←なさそう。