「ナスがママンならウリは猫」




夏の昼下がり。

スイカも麦茶も風鈴も堪能した。

獄寺が是非にもと言って頼み込むので彼の買って来た新しい浴衣を身につけ今は花ゴザの上に転がっている。
クーラーが効いているから必要はないのだけれど時折ぱたぱたと団扇で風が送られる。
本当は膝枕もセットだったのを暑いからと言い訳して丁重に断ったのだ。
あんまり期待で嬉しそうだったので団扇で扇ぐのは甘受しだらりと漫画雑誌のページをめくる。

「じゅうだいめえー、どっちにしますか?」

頭の上からのんびりと声がかかった。

「どっちってなに?」
漫画のコマを眺めたままに返事をする。

「キューリとナスとどっちになさいますか?」

のんびりとしていた割には真剣な声色で、反射的に肩に力が入ってしまう。

「どっちも何もそのキューリとナスどうしようってんだよ」

「いやいや、だって大切なことですからやっぱり10代目に決めていただくのがいいと思いまして。
・・・んー、ナスはピカピカ黒光りして王者の風格だしキューリもこの棘棘の威厳が・・」

本当に何をどうしようっていうのだろう。夏野菜パーティーでもしようというのだろうか。ツナは首を傾げてぐるりとまわした。

「あー、だいじょうぶ?ごくでらくん。暑いからね、よく冷やして味噌でもつければどっちも食べられるんじゃない?好きなだけ食べていいよ~。おれはいらない」
回した首を今度は横に振りながら言うツナに覆いかぶさるようにして獄寺も熱弁する。

「10だいめえ、オレ熱射病じゃないですってば。大丈夫です!!それにナスもキュウリも食べるんじゃないっすよ。」

「食べるんじゃなかったら何にするんだよ?」
無意識に浴衣の襟を合わせなおしながら獄寺を問いただす。

「何ってあれですよ、10代目。乗って頂くんですってば!!」

「乗る?」

「はい」

「・・・きゅうりかナスに?」

「はい」

「キュウリかナスに、おれが?!」

「ち、が、いますー!!プリーモご送迎の乗り物っすよー」

そして獄寺は今気がついたかのように顔を赤らめて壁のほうに目を逸らした。

「あー、うん、わかった。お盆のあれだよね。誰かに教えてもらったの?
でもあれは早く迎えるのにキュウリの馬でゆっくり送るのにナスの牛なんだってさ。かあさんに聞いたことあるよ」

「さすが10代目と10代目のおかあさまです!じゃあプリーモはキュウリでGにはナスで・・・」

ツナはそっと獄寺の髪を撫でてやって机の隅を指差す。

「・・なんていうか、さっきそこに来てたような気がする・・」



fin