mangiare「どうしておなかはへるのかな」
雑誌、炭酸のペットボトル、テレビゲームのコントローラー、CDケース、ぐるり360度オレと10代目を取り巻くものたち。
「獄寺くーん、おなか減らない?」
天板の上に頭を乗せているので自然上目遣いに10代目がおっしゃる。
コタツってやつは本当に魔の道具だとオレは思った。
この極東の地に来て恐ろしいと感じたもののひとつがコタツという名の魔物だ。
現にあのリボーンさんや姉貴までもが虜にされているのだ。
寒いね、と言い合いながらオレと10代目はコタツに入りしばしぼんやりテレビをみるともなく見ていたのだが、足元が温まってくると共に頭のほうも幾分ぽわーっと温まってしまうらしい。
ほわーっと10代目の表情が緩んでくるのはそれこそ春の訪れのようでオレの頭には小鳥の囀りさえ聞こえるようだ。
「ご、く、で、ら、くん!」
10代目が足先で軽くつついてくる。
「・・え、あ。あ、すみません10代目」
慌てて足を引っこめて正座しそうになるオレを10代目はやんわり止めて「おなかすいたよねえ」ともう一度繰り返した。
「そうっすねえ、昼にタコヤキ食べたきりでしたっけ?」
「うん。おれさあ、おなかと背中がくっつきそうだよ」
左の頬をぺったり天板に押しつけたままの10代目はちょっとばかし気怠い表情だ。
まあ実際さっきなんて「ねえ獄寺くん、おれの代わりにトイレ行って来て」とかとんでもないことを云ったりもされたので(勿論冗談だったが)動くのが大儀なんじゃないかと思う。
とろーんとぽやーんと見上げる薄桃色の頬と若干伏せた睫毛に今更のように心臓がはねた。
「どうしておなかは減るんでしょうね、10代目」
コタツから抜け出して10代目を背後から抱きこんで引き寄せた。
そのまま項に唇を落とす。
「えっ?」
肩先をびくりとさせて振り返る鳶色の虹彩。
「おなかと背中、くっついちゃいました、よ。ほら、オレの腹と10代目の背中」
回した腕を交差させてさっきより強く抱きしめる。
部屋自体はちっとも暖まっていないはずなのに体温はどういうわけだか急上昇を始めているようだ。 どういうわけもそういうわけだけれど。
そのままゆっくり天井に向かって10代目ごと身体を倒して小さく歌った。
「どうしておなかはへるのかな・・」
顎のラインに沿ってまたひとつふたつと接吻ける。
「・・・おれを食べるためとかいうなよな!」
耳の縁をあかく染めながら10代目はオレの腕に噛みつき、コタツはやっぱり魔の道具だとオレは思うのだった。
おわり
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仲良くしてても減るもんナ!