「冬の花火」


日の落ちるのもはやくなった放課後。


向かい風にブルリと首を竦め「ほんと寒いよねー」と連れに同意を求める。

「だよな。雪でも降りそうだよな」云いながらがっしりと圧し掛かるように腕が巻きつく。

「てっ!十代目になにしてやがる、離れろっ」

まあまあとその場をとりなし誘蛾灯のように招いているコンビニに足を向けた。

「お、ツナまん今日も売ってるかな。今日も10個買いすっかなあ~」

「オマエが10個ならオレは100個買ってやる。あ、10代目に差し上げますねv」

「山本、そんなん10個もないから!夕飯食えなくなっても知らないよ? 獄寺くんも食べたい分だけにして。饅頭屋でも開くつもりなの?おれのはいいからっ」

饅頭屋にはなりません、オレがなるのは貴方の右腕云々と演説する獄寺君の相手をしている間に 山本がにこにこしながらガラスケースの中のツナまん?を買い占めてきた。

「最近なんか人気なんだって、ツナまん。結構買えたぜ?」袋からほかほか湯気があがっている。

「そだ、いいこと考えたのな」ぷちぷちとシャツの釦を外されいきなり饅頭を2個突っ込まれた。

・・!。

「ツナ巨乳だな~~。ぼいんぼいん♪あったかいし一石二鳥だろ?」

ニコニコ嬉しそうな山本となんだか鼻を押さえている獄寺君。や、そんなことよりこれ熱い。

「アッチィ!!それに全然2鳥じゃないー」思いの外熱くて何も考えずに山本に投げつけてしまった。

え、え?やまもと、その瞳はなに。なんなのー。その投球フォームはなんなのー。

何故か静かにしている獄寺くんの顔面を直撃する白い物体・・。フングとくぐもった声がする。
「あ。ごくでら、悪ぃ悪ぃ。ついうっかり。」うっかりでされるレベルを凌駕してるよ。

「んでもツナの懐に入ってた饅頭だしぃ?しっかり喰って大きくなれよ」
なに爽やかな顔してんの。おれ秀吉じゃなくて綱吉だし。それ草履じゃないし。

いやいや、それより獄寺くん、饅頭なんだか赤くなってない?山本買ったの紅白饅頭じゃないよね?

「ツナも悪かったなー。そんなに熱かったのかあ。火傷してねえ?」

裾の方からぺろんと制服を捲くりあげてじーっと眺めると「や、ちょっと紅くなってんな。ごめんな」

屈んだ姿勢のままふーふーと息を吹きかけている・・・。

「唾つけたら治るかなー」

「・・果てろ・・!」

ゆらり、と幽鬼のような形相(しかも血まみれ)で立ち上がった獄寺君を止める間もなく爆発音が響いた。


「ほんと、ごくでらって花火スキなのなー」


・・・おわっとけ。