「コーヒーミルククレイジー」
さあ座ってくださいと促されるままにソファに腰を下ろす。
手渡されたカップからは湯気が立ち上がりふわりとした香りが鼻をくすぐった。
まるで喫茶店みたいだな、ひとりで喫茶店なんて入ったことないけど。
部屋を眺め回すのも失礼な気がしてカップの中を覗き込む。
「これ、コーヒーだよね?」
表面にクリームのようなもので四つ葉のクローバーが浮かび上がっている。柔らかな甘い匂いが混じっている。
「コーヒーですよ。10代目に飲んでいただきたいなと思って。あ、でも炭酸とかのほうがよかったですか?」
「ううん、手があったまるし、なんか良い匂いだし。ありがとう」
「はい。そういって貰えると嬉しいです。10代目、珈琲占いってご存知ですか?」
「知らない、と思う」
「えーとですね、珈琲を飲んだ後の豆の形で色々わかるんだそうですよ」
「色々って?」
「色々は色々ですよお、10代目」
随分ご機嫌そうだね、獄寺くん。妙なもん入れてないだろうな、と失礼な想像がよぎるのを振り払いカップに口をつける。
「あ、甘い。これなら飲めそう」
うっかり口が滑ったが中学を卒業してからも暫くコーヒーは飲めなかったのだ。なんかかっこ悪い。
「よかったです。あ、飲み終ったら占えますから」
「・・て獄寺君は飲まないの?なんかじっとみられてると落ち着かないんだけど」
サイドからどうにも視線を感じて動作がぎこちなくなってしまう。不快なわけじゃないけどなんともいえない感触。
そんなに熱くないし、ええいままよと一気に飲み干してしまった。
えーとこれでなんかを占うんだっけ、なんでそんな一生懸命かなあ。
「!」
カップの底をみて唖然とする。
こんなものいつの間に作ってたわけ、このひと。相変らず莫迦だ。
~I LOVE 10代目!!~
くっきりかっきりゴシック体で赤く印字されてるそれをうっかり床に落としそうになり、それともいっそ落としてしまうべきかとも思った。
どこの観光土産だよ、ニューヨークか、ハワイか?!
「全部、全部飲んで頂けたんですね、コーヒー」
ほんのり上気した顔をむけて追加された台詞におれはただただ俯いた。
「このつぎはモーニングコーヒー一緒に飲んで欲しいっす」
fin
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夜明けのコーヒー一緒に飲もう、って言いたかったらしいですね。
10代目は炭酸ジュース派(笑)
10代目がコーヒーを飲むようになったら言おうと決めていた獄寺さん。
タイトルは某曲から。