「DAYDREAMER」
押し切られるままに、付き合ってもいいよと言ったのは、恐れと諦めからくる、半ばヤケクソだった。
「よし」の合図を貰った時の忠犬のように喜びに溢れた顔を見て多少の罪悪感を感じないではなかったとはいえ、自ら望んだことではないのだと、心のどこかで言い訳を作っていた。
「獄寺君、お待たせー。……あれ?」
いつもならば、こうしてツナが補習を受けている日は、教室の自席で姿勢を正してツナの帰りを待っているはずなのだが。
遅くなるから待たなくていい、と何度言っても聞かずに必ず待っているのは、以前から変わらないことで。
ただ、はじめて、じゃあ待っててねと言った時、とても嬉しそうな顔をしたのだ。
それからは、待っててもらうように言うことにしていた。
だから、先に帰ったりしているはずは、絶対にない。
くるりと教室を見回すと、やはり居た。
ただしツナの席で。
机の上に重ねた両腕に、少し横向きに顔をのせて。
「寝てる…の?」
近付いて小さな声で問うと、なぜか急に、にへら、と笑顔になり、寝言を発した。
「じゅうだいめー…へへ…」
うん、まあ、気持ち悪いっちゃ、気持ち悪い。
なんかニヤニヤした顔で名前を呼ばれるってのは。
ツナとて一瞬怯んだ。が。
今の今まで整いまくっていた顔がまさに崩れるその瞬間、を、はじめて間近で目にしてしまった。
自分のことを夢に見て、こんなにもしあわせそうにくずれる、ひと。
言われ慣れて、
愛され慣れて、
君に慣れて、気付かなかった。
強引に流されても構わない、なんて、他の誰かでも思っただろうか?
それは、ツナの上に積もった愛情の肥料の上に、ちいさな芽が吹いた瞬間だった。
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★歪曲トランスミッターのともさんから誕生祝いに頂きました。(せしめた?)
逃げ道を作りながら、でも実は道はそこに続いていたっていうツナが可愛くてきゅんきゅんします。
獄寺は肥料やりすぎて枯らしかねないので一緒に育てないとね(笑)
ともさん、甘酸っぱい獄つなをありがとうございました。